二級建築士試験では、建物の安全性を確保するための知識が問われます。特に、 特殊建築物 と 耐火建築物 の関係は非常に重要で、複雑な規定も多いことから、多くの受験生を悩ませるテーマとなっています。
今回は、特殊建築物のうち、 別表1 に該当する建築物と、耐火建築物に関する規定について、具体例を交えながら分かりやすく解説し、試験対策としてどのように学習を進めればよいか解説していきます。
Contents
特殊建築物とは?
特殊建築物とは、劇場、病院、百貨店、ホテルなど、不特定多数の人が出入りする建築物のことです (法2条2号)。
火災などの災害が発生した場合、多くの人が逃げ遅れる危険性が高いため、 建築基準法では、より厳格な基準を設けて安全性の確保を図っています。
耐火建築物とは?
耐火建築物とは、火災時に一定時間、 火災の拡大を防ぎ、倒壊しない構造 の建築物のことを指します。
建物の主要構造部を 耐火材料 で造ることや、 防火区画 を設けることなど、様々な基準を満たす必要があります。
特殊建築物と耐火建築物の関係
特殊建築物は、その用途や規模によっては、耐火建築物 とすることが義務付けられています。
これは、火災発生時に、多くの人が安全に避難できるようにするためです。
特殊建築物が耐火建築物とされる基準 は、以下の3つの観点から定められています。
- 用途: 建築物の用途によって、耐火建築物とするかどうかが決まります。
- 規模: 建築物の規模(階数や床面積)によって、耐火建築物とするかどうかが決まります。
- 地域: 建築物が建っている地域によって、耐火建築物とするかどうかが決まります。
1. 用途による耐火建築物の基準 (法27条・別表1)
法27条では、「特殊建築物」のうち、別表1に掲げる用途のものは、原則として耐火建築物としなければならない と定めています。
これは、これらの用途の建築物は、不特定多数の人が利用するため、火災発生時に特に危険度が高いと考えられているためです。
別表1には、劇場、映画館、病院、ホテル、百貨店、マーケット、キャバレー、風俗営業を行う店舗など、様々な用途の建築物が列挙されています。
これらの建築物を設計する際は、 必ず別表1を確認し、耐火建築物とする必要があるかどうかを判断する 必要があります。
2. 規模による耐火建築物の基準 (法27条・別表1)
法27条および別表1では、用途だけでなく、規模によっても耐火建築物とする基準が定められています。
例えば、劇場や映画館は、階数に関わらず耐火建築物とする必要がありますが、ホテルや共同住宅は、階数や床面積が一定以上の場合にのみ耐火建築物とする必要があります。
3. 地域による耐火建築物の基準 (法61条)
法61条では、 防火地域 および 準防火地域 においては、一定の規模以上の建築物を耐火建築物とする必要があると定めています。
防火地域や準防火地域は、市街地における火災の延焼を防止するために指定される区域です。
特殊建築物を設計する際の注意点
- 別表1の確認: 特殊建築物を設計する際には、まず 別表1 を確認し、その建築物が耐火建築物とすべきものかどうかを判断する必要があります。
- 技術的基準: 耐火建築物の構造は、 令110条 で定められた技術的基準に適合している必要があります。
- 防火設備: 耐火建築物であっても、開口部には防火設備を設置する必要があります。
- 避難安全検証法: 特殊建築物は、 避難安全検証法 に基づいて、避難経路の安全性を検証する必要があります。
- 内装制限: 特殊建築物の内装は、火災の発生や延焼を防ぐため、仕上げおよび下地ともに不燃材料でなければなりません。
- 既存不適格建築物: 建築基準法の改正前に建てられた建築物で、改正後の基準に適合していないものを 既存不適格建築物 といいます。既存不適格建築物を増築する場合は、増築部分については改正後の基準に適合させる必要がありますが、一定の条件を満たす場合は、増築部分にも既存不適格建築物に関する規定を適用することができます。
まとめ|特殊建築物と耐火建築物をマスターしよう!
特殊建築物と耐火建築物に関する規定は、複雑で分かりにくい部分も多いですが、二級建築士試験対策として、また建築士としての実務においても、非常に重要な知識です。
今回の内容を参考に、法令集と過去問を有効活用しながら、しっかりと理解を深め、試験本番で自信を持って解答できるように準備しておきましょう!