二級建築士試験では、建物の安全性を確保するための知識が問われます。
特に、火災などの災害発生時に人命を守る 避難経路 に関する問題は頻出テーマです。
今回は、避難経路設計において重要な役割を果たす 避難安全検証法 について、複雑な規定を分かりやすく整理し、試験対策としてどのように学習を進めればよいか解説していきます。
Contents
避難安全検証法とは?
避難安全検証法とは、建築物の火災安全性を評価するための方法の一つです。
火災が発生した場合、煙や熱がどのように広がるかをシミュレーションし、避難経路の安全性を検証します。
この検証法によって、避難経路の設計が適切かどうか、避難時間内に安全に避難できるかどうかを判断することができます。
建築基準法では、「階避難安全検証法」 と 「全館避難安全検証法」 の2種類の検証法が規定されています。
- 階避難安全検証法: 一つの階における避難安全性を検証する方法です。主に、居室から直通階段までの煙の降下速度と避難時間を比較し、安全性を評価します。
- 全館避難安全検証法: 建物全体における避難安全性を検証する方法です。主に、火災室から発生する煙の量と建物の容積を比較し、安全性を評価します。
1. 避難安全検証法の適用範囲 (令129条)
避難安全検証法は、全ての建築物に適用されるわけではありません。
令129条では、避難安全検証法の適用範囲が定められています。
- 原則: 階避難安全検証法は、3階以上の建築物、または地下に居室を設ける建築物に適用されます。
- 例外:
- 主要構造部が耐火構造である建築物は、階避難安全検証法の適用が免除されます。
- 内装制限(仕上げおよび下地を不燃材料にすること)を満たしている建築物は、階避難安全検証法の適用が免除されます。
全館避難安全検証法は、特定の用途の建築物、または一定規模以上の建築物に適用されます。
具体的な適用範囲は、令129条の2で定められています。
2. 階避難安全検証法 (令129条)
階避難安全検証法では、煙の降下速度と避難時間を比較することで、避難経路の安全性を評価します。
- 煙の降下速度: 火災が発生した場合、煙は天井付近から徐々に降下してきます。階避難安全検証法では、煙が避難経路に到達するまでの時間を計算します。
- 避難時間: 居室から避難階までの避難に必要な時間を計算します。
- 安全性: 煙の降下時間が避難時間よりも長ければ、避難者は煙に巻き込まれることなく安全に避難できると判断されます。
試験対策ポイント
- 階避難安全検証法では、煙の降下速度と避難時間を計算する問題が出題されることがあります。
- 煙の降下速度は、建物の構造や開口部の面積などによって変化するため、複雑な計算が必要となる場合もあります。
- 過去問などを参考に、計算方法をしっかりと理解しておきましょう。
3. 全館避難安全検証法 (令129条の2)
全館避難安全検証法では、煙の量と建物の容積を比較することで、建物全体の避難安全性を評価します。
- 煙の量: 火災室から発生する煙の量を計算します。
- 建物の容積: 建物の延べ面積に階高をかけた値です。
- 安全性: 煙の量が建物の容積に対して十分に小さければ、煙が建物全体に充満することなく、避難者は安全に避難できると判断されます。
試験対策ポイント
- 全館避難安全検証法では、煙の量と建物の容積を計算する問題が出題されることがあります。
- 煙の量は、火災室の面積や内装材の種類などによって変化するため、注意が必要です。
4. 避難安全検証法の免除規定
避難安全検証法の適用範囲に該当する建築物であっても、一定の条件を満たす場合は、検証法の適用が免除される場合があります。
- 内装制限: 内装の仕上げおよび下地を不燃材料にすることで、煙の発生を抑え、避難安全性を向上させることができます。内装制限を満たしている建築物は、階避難安全検証法の適用が免除されます。
- 防火区画: 防火区画を設けることで、火災の延焼を防ぎ、避難時間を確保することができます。防火区画を適切に設置している建築物は、全館避難安全検証法の適用が免除される場合があります。
試験対策ポイント
- 避難安全検証法の免除規定は、試験でよく問われます。
- 免除規定の条件をしっかりと理解し、適用されるかどうかを正しく判断できるようにしておきましょう。
5. 特別避難階段の床面積 (令124条)
特別避難階段の床面積は、バルコニー付居室の床面積によって制限されます。
特別避難階段の床面積は、バルコニー付居室の床面積の1/100または3/100を超えてはなりません。
試験対策ポイント
- 特別避難階段の床面積に関する規定は、他の条文とは別に定められているため、見落としがちです。
- 法令集にインデックスを貼るなどして、確実に確認できるようにしておきましょう。
まとめ|避難安全検証法をマスターしよう!
避難安全検証法は、建物の安全性を確保するための重要な検証方法であり、二級建築士試験でも頻出テーマです。
今回の内容を参考に、法令集と過去問を有効活用しながら、しっかりと理解を深め、試験本番で自信を持って解答できるように準備しておきましょう!