二級建築士試験では、建物の安全に関する知識が問われます。中でも、火災などの災害発生時に人命を守る 避難経路 に関する問題は頻出テーマです。
今回は、避難経路の中でも特に重要な 避難階段 について、複雑な規定を分かりやすく整理し、試験対策としてどのように学習を進めればよいか解説していきます。
Contents
避難階段とは?
避難階段とは、火災などの災害発生時に、人々が安全に避難できるように設計された階段です。
通常の階段よりも より厳格な基準 が設けられており、 安全性の確保 が最優先されています。
建築基準法では、「避難階段」に加えて、より安全性の高い 「特別避難階段」 が規定されています。
これらの階段は、建物の規模や用途、構造によって、設置基準が細かく定められています。
避難階段の種類
- 屋内避難階段: 建物内部に設けられた避難階段。
- 屋外避難階段: 建物外部に設けられた避難階段。
- 特別避難階段: 特に防火性能の高い避難階段。
1. 避難階段の設置基準 (令122条)
令122条では、避難階段の設置基準が定められています。
- 原則: 5階以上の建築物、または地下2階以下の建築物には、避難階段を設置しなければなりません。
- 例外:
- 5階建て以下の建築物: 主要構造部が準耐火構造または不燃材料で造られており、かつ、各階の床面積の合計が100㎡以下の場合は、避難階段を設置する必要はありません。
- 地下2階建て以下の建築物: 主要構造部が準耐火構造または不燃材料で造られており、かつ、地下階の床面積の合計が100㎡以下の場合は、避難階段を設置する必要はありません。
- 15階建て以上の建築物 または 地下3階建て以下の建築物: 特別避難階段を設置する場合を除き、避難階段を設置しなければなりません。
- 15階建て以上の建築物 または 地下3階建て以下の建築物 で、耐火構造であり、かつ、各階の床面積の合計が100㎡以内ごとに防火区画されている場合は、避難階段を設置する必要はありません。
- 物品販売業を営む店舗: 売り場面積が1500㎡を超える場合、避難階段または特別避難階段を設置しなければなりません。
- さらに、5階以上の売り場に通じる場合は、そのうち少なくとも1つは避難階段としなければならず、15階以上の売り場に通じる場合は、すべて特別避難階段としなければなりません。
試験対策ポイント
- 避難階段の設置基準は、建物の階数、地下階数、用途、主要構造部、床面積など、様々な要素によって複雑に定められています。
- 試験では、これらの要素を総合的に判断して、避難階段が必要かどうか、どの種類の避難階段を設置する必要があるかを正しく判断できるかが問われます。
2. 避難階段の構造 (令123条)
令123条では、避難階段の構造に関する基準が定められています。
- 耐火構造: 避難階段は、耐火構造でなければなりません。
- 内装制限: 避難階段の内装は、仕上げおよび下地ともに不燃材料でなければなりません。
- 開口部:
- 屋内避難階段の場合、避難階以外の階に設ける開口部は、防火設備で閉鎖できる構造にする必要があります。
- 屋外避難階段の場合、開口部から2m以上の距離を確保する必要があります。
- 予備電源: 停電時でも照明が確保できるよう、予備電源を備えなければなりません。
試験対策ポイント
- 避難階段は、火災などの災害発生時に、安全な避難経路としての機能を確保するために、耐火構造や内装制限など、厳格な基準が設けられています。
- 試験では、これらの基準を理解しているかどうかを問う問題が出題されることがあります。
3. 特別避難階段 (令124条)
令124条では、特別避難階段の構造に関する基準が定められています。
- バルコニー: 特別避難階段には、バルコニーを介して居室に接続する構造にする必要があります。
- バルコニーは、煙や熱の侵入を防ぎ、避難者を一時的に安全な場所に待避させることができます。
- 耐火構造: 特別避難階段は、耐火構造でなければなりません。
- 内装制限: 特別避難階段の内装は、仕上げおよび下地ともに不燃材料でなければなりません。
- 開口部:
- バルコニーに面する開口部は、設けてもよい。ただし、予備電源を有する非常用照明設備を設置する必要がある。
- バルコニーに面する壁に設ける開口部以外の開口部は、設けてはならない。
- 防火設備:
- 特別避難階段の入口は、特定防火設備でなければなりません。
- バルコニーから特別避難階段へ通じる出入り口は、防火設備でよい。
試験対策ポイント
- 特別避難階段は、避難階段よりもさらに安全性の高い構造が求められます。
- 試験では、特別避難階段の構造に関する基準を理解しているかどうかを問う問題が出題されることがあります。
4. 地下街における歩行距離 (令128条)
地下街は、火災発生時に避難が困難になるため、建築基準法では、地下街における歩行距離についても基準が定められています。
- 歩行距離: 地下街のどの部分からも、屋外または地上に通じる出口まで30m以下でなければならない。
- 直通階段: 地下街には、30m以下の歩行距離で直通階段に到達できるよう、直通階段を設けなければならない。
試験対策ポイント
- 地下街における歩行距離に関する規定は、他の条文とは別に定められているため、見落としがちです。
- 法令集にインデックスを貼るなどして、確実に確認できるようにしておきましょう。
まとめ|避難階段の基準をマスターしよう!
避難階段に関する基準は、人命を守る上で非常に重要であり、二級建築士試験でも頻出テーマです。
今回の内容を参考に、法令集と過去問を有効活用しながら、しっかりと理解を深め、試験本番で自信を持って解答できるように準備しておきましょう!