二級建築士試験では、建物の「その他設備」に関する問題も出題されます。
安全で快適な生活を送るために、建築基準法では、避雷針、便所、給排水設備、エレベーターなど、様々な設備に関する基準が設けられています。
今回は、これらの設備に関する規定の中から、試験によく出る重要ポイントを整理し、さらに詳細な解説を加えることで、皆さんの理解を深め、合格へと導きます!
Contents
1. 避雷針:建物を雷から守る! (法33条)
- 設置義務: 高さが20mを超える建築物には、避雷針を設置する義務があります。
- 高さの算定: 避雷針の設置義務を判断する際の高さは、「地盤面」から「建築物の最高点」までを垂直に測った長さです。
- ペントハウスや屋上広告塔など、高さに算入しないものがある点に注意が必要です (法10条)。
- つまり、避雷針は、建物の最も高い部分に設置することが重要です。
- 試験対策:
- 避雷針の設置義務に関する問題は、建物の高さを正確に計算できるかがポイントになります。
- 高さに算入しないものをしっかりと理解しておきましょう。
2. 便所:衛生的な環境を! (法28条・令33条)
- 採光・換気: 便所には、採光・換気のための窓を設ける必要があります。
- ただし、窓の代わりに換気設備や照明設備を設置することも可能です。
- 現代の建築物では、窓のない便所に換気扇と照明を設置するのが一般的です。
- 浄化槽: し尿浄化槽を設置する場合は、漏水検査を行う必要があります。
- 浄化槽は、微生物の働きでし尿を浄化する設備です。
- 漏水検査は、浄化槽から汚水が漏れ出していないかを確認するための検査です。
- 試験対策:
- 便所の採光・換気に関する規定は、試験で頻出です。
- 浄化槽の検査に関する規定も合わせて覚えておきましょう。
3. 給排水設備:安全な水を供給! (令102条・令129条の2~4)
- 設置場所: 給排水管は、原則としてエレベーターシャフト内やダクト内には設置できません。
- これは、地震などでこれらの設備が損傷した場合、漏水によってエレベーターや電気設備が故障し、避難や消火活動に支障をきたす恐れがあるためです。
- ただし、耐火構造の竪穴内に設置する場合などは、この限りではありません。
- 防火区画の貫通: 給排水管が防火区画を貫通する場合は、防火対策が必要です。
- 1m以内の貫通部分については、不燃材料で覆うか、耐火性能を有する材料で区画する必要があります。
- 隙間があれば、モルタルなどの不燃材料でしっかりと埋めなければなりません。
- 飲料水: 飲料水の給水管と排水管を直接接続することは禁止されています。
- これは、排水管からの汚水が給水管に逆流して、飲料水が汚染されるのを防ぐためです。
- 試験対策:
- 給排水設備に関する問題は、安全性の確保と衛生面の確保という二つの観点から出題されます。
- 設置場所の制限、防火区画の貫通部における防火対策、飲料水の汚染防止対策などをしっかりと理解しておきましょう。
4. エレベーター:安全で快適な移動を! (令129条の2~13)
- 安全装置: エレベーターには、故障時などに自動的に停止する安全装置や、扉が閉まる前に人が挟まれた場合に作動する安全装置などを設置する必要があります。
- 昇降路と居室: エレベーターの昇降路と居室の間の壁は、遮音性能を確保する必要があります。
- エレベーターの運転音が居室に伝わるのを防ぐためです。
- 機械室: エレベーターの機械室には、換気設備を設置する必要があります。
- 機械室の温度上昇や湿気による機器の故障を防ぐためです。
- 非常用エレベーター:
- 避難階まで停止できる構造であること。
- 昇降路の壁や扉は、耐火構造であること。
- 予備電源を備えていること。
- 非常用の照明設備を備えていること。
- 試験対策:
- エレベーターに関する問題は、安全装置、昇降路の構造、機械室の換気など、様々な観点から出題されます。
- 特に、非常用エレベーターの設置基準は重要なので、しっかりと理解しておきましょう。
5. エスカレーター:安全でスムーズな移動を! (令129条の12)
- 勾配: エスカレーターの勾配は30度以下にする必要があります。
- 幅: エスカレーターの幅は、一定以上確保する必要があります。
- ステップ: ステップの高さや奥行きは、安全に利用できるよう、基準が定められています。
- 試験対策:
- エスカレーターに関する問題は、勾配、幅、ステップの構造などが出題されます。
- 安全性を確保するための基準を理解しておきましょう。
過去問演習で実力アップ!
その他設備に関する問題は、実際に問題を解きながら理解を深めていくことが重要です。
- 法令集を見ながら、定義や条文を丁寧に確認すること。
- 具体例を考えながら、イメージを掴むこと。
- 試験によく出る引っ掛けパターンを意識すること。
地道な努力を積み重ねていくことで、必ず得点に繋がるはずです。
まとめ|その他設備の知識をマスターしよう!
その他設備に関する知識は、二級建築士試験だけでなく、建築士としての実務においても必要不可欠です。
今回の内容を参考に、法令集と過去問を有効活用しながら、しっかりと理解を深め、試験本番で自信を持って解答できるように準備しておきましょう!