【初心者向け】建築コンセプトの教科書!意味や作り方、実例まで徹底解説!

「建築コンセプト」ってなんだろう?
かっこいい建物には必ず、設計者の熱い想いが込められているはず!

この記事では、そんな建築コンセプトの世界へあなたを招待します。

これから建築を学ぶ学生さんや、建築に興味があるけど、コンセプトって難しそう…と感じている方に向けて、分かりやすく解説して行きます。

この記事を読めば、建築コンセプトの基礎から応用、そして実例まで深く理解することができます。ぜひ最後まで読んでみて下さい!

建築コンセプトとは?

建築コンセプトとは、建物を設計する上で最も大切にしたい「想い」や「考え方」を、一言で表した言葉のこと。

例えば、

  • 「自然との共生」
  • 「地域のコミュニティを育む」
  • 「未来へ向けた持続可能な建築」

といったように、その建築が目指す姿を明確に表現します。

これは、設計者自身の考えをまとめるだけでなく、施主や利用者、地域社会など、建築に関わる全ての人と、その想いを共有するためのコミュニケーションツールとしても役立ちます。

建築コンセプトが重要な理由

建築コンセプトは、建物の設計において、以下の点で重要な役割を果たします。

  1. 設計の方向性を定める羅針盤複雑な建築プロジェクトにおいて、コンセプトは、設計者が迷った時の道標となり、一貫性のある設計を実現するための指針となります。
  2. 建築に独自性と魅力を与えるありきたりな建物ではなく、利用者や地域社会に愛される、個性豊かで魅力的な建物を生み出すために、コンセプトは欠かせません。
  3. 建築に関わる人々の心を一つにするコンセプトを共有することで、設計者、施主、利用者、地域社会など、建築に関わる人々の間で、共通認識を育み、プロジェクトを円滑に進めることができます。

建築コンセプトの作り方

建築コンセプトは、以下の手順で作り上げていきます。

Step 1: 情報収集と分析

  • 敷地調査:敷地の形状、周辺環境、日当たり、風通しなどを調べます。
  • 機能要求の整理:どのような用途の建物なのか、必要な部屋数や広さ、設備などを明確にします。
  • 関連事例の調査:類似する建築物や、参考にしたい建築家の作品を調べます。

Step 2: キーワードの抽出

  • 分析結果から、設計の鍵となるキーワードをいくつかピックアップします。
  • 例:「自然との調和」「開放的な空間」「地域のランドマーク」など

Step 3: コンセプトの言語化

  • 抽出したキーワードを元に、建築を通して表現したい「想い」や「テーマ」を、簡潔な言葉で表現します。
  • 抽象的な表現ではなく、具体的なイメージを喚起する言葉を選びましょう。

Step 4: コンセプトの検証

  • 立てたコンセプトは本当に実現可能か?魅力的な建築に繋がるか?などを検証します。
  • 必要があれば、コンセプトを修正・ブラッシュアップします。

建築コンセプトの実例

有名な建築物を参考に、コンセプトがどのように表現されているのかを見てみましょう。

建築物名建築コンセプト建築コンセプトの説明
サヴォア邸近代建築の五原則ピロティ、屋上庭園、水平連続窓、自由な平面、自由な立面という5つの要素を明確化し、近代建築の礎となった。
Fallingwater(落水荘)自然と一体となった建築滝の上に建てられた住宅は、自然と共存し、その一部となるような建築を目指した。
東京スカイツリー日本の伝統美と未来的なデザインの融合高さ世界一の電波塔として、日本の伝統的な建築様式と、革新的なデザインを融合させた。

まとめ|建築コンセプトは建物の「想い」を形にするための羅針盤

この記事では、建築コンセプトについて、その意味や重要性、作り方、実例などを解説しました。

建築コンセプトは、建物に命を吹き込み、人々の心を動かす力を持っています。

これから建築を学ぶ人はもちろん、建築に興味がある人も、この記事を参考にして、建築コンセプトの世界に触れてみて下さい!

建築学生のためのダイアグラム入門ガイド: 効果的な作成手順と注意点、事例紹介

建築を学ぶ学生にとって、ダイアグラムは設計内容を整理し、相手に効果的に伝えるための強力なツールです。

この記事では、ダイアグラム作成が苦手な学生や、これからダイアグラムを学びたい学生に向けて、以下の内容を解説します。

  1. ダイアグラムとは?
  2. ダイアグラムはなぜ必要なの?
  3. 効果的なダイアグラム作成手順をステップで解説
  4. ダイアグラム作成の注意点
  5. 著名建築事務所によるダイアグラム事例紹介

1. 建築におけるダイアグラムとは?

ダイアグラムとは、建築物の設計意図やコンセプトをわかりやすく図解したものです。

図面やパースでは伝えきれない、以下の様な情報を視覚的に表現します。

  • 周辺環境の分析
  • 利用者層のイメージ
  • 基本的なゾーニングプラン
  • 基本的な動線計画
  • 設計コンセプト
  • 保守・運用計画
  • 構造・環境上の配慮

2. ダイアグラムはなぜ必要なの?

ダイアグラムは、設計者自身と相手方の双方にとって、以下の様なメリットがあります。

設計者にとってのメリット

  • 設計内容の整理: 図式化することで頭の中が整理され、設計案への理解が深まります。
  • 思考の深堀り: 図式化を通して新たな課題やアイデアを発見することができます。

相手方にとってのメリット

  • 視覚的・直感的な理解: 図式は言葉よりも多くの情報を瞬時に伝えることができます。
  • 印象に残りやすい: 視覚情報は記憶に残りやすく、プレゼン内容の理解を促進します。

3. 効果的なダイアグラム作成手順

ステップ1: 自分の設計内容を徹底的に理解する

まずは、設計案の特徴や要点を再確認し、何を伝えたいかを明確化します。

ステップ2: 説明したい内容ごとに分割する

敷地分析、プログラム概要、形態操作など、説明項目を分割し、それぞれにダイアグラムを作成します。

ステップ3: 各項目で「つまり何が言いたいのか?」を短くまとめる

重要な部分を抽出する感覚で、伝えたい内容をシンプルに言語化します。

ステップ4: 簡単に図式化してみる

これまでのステップで整理した内容を元に、ラフなスケッチでダイアグラムのイメージを掴みます。

ステップ5: 説明内容が図式に全て含まれるように改良していく

漏れがないか確認し、必要であれば情報を追加します。

ステップ6: 図式化の中で生まれた発見があれば説明内容にフィードバックする

図式化を通して、より良い表現方法や修正点が見つかる場合もあります。

ステップ7: 余分な情報を完全になくす

本当に必要な情報だけを残し、シンプルさを追求します。

ステップ8: 見る側のことを考えて、少しでも視覚的に分かりやすくする

矢印や色分けなどを効果的に活用し、直感的に理解できるよう工夫します。

ステップ9: 最後の仕上げ: 直感的に理解できるか最終チェック

感覚的に頭にスッと入ってくるかを確認し、必要に応じてブラッシュアップします。

4. ダイアグラム作成の注意点

  • 表現方法が内容を邪魔しないようにする: 表現が過剰になり、伝えたい内容がぼやけないように注意しましょう。
  • 見る人のストレスを極限まで減らす: 複雑すぎる表現や、不要な情報は削除し、理解を妨げないように心がけましょう。
  • あくまで設計内容が重要であることを忘れない: ダイアグラムはあくまでもツールであり、設計内容を犠牲にしてまでこだわる必要はありません。

5. 著名建築事務所によるダイアグラム事例紹介

  • nendo: 動画とイラストを組み合わせた、わかりやすく親しみやすい表現が特徴的です。
  • BIG: コンセプトのアイデア段階から、建築の完成形までを段階的に図解し、設計プロセスを明確に示しています。
  • OMA: ゾーニング、動線、周辺環境分析など、多様な種類のダイアグラムを駆使し、複雑な情報をわかりやすく伝えています。

まとめ

優れたダイアグラムは、シンプルながらも設計の本質を捉え、見る者に深い理解を与えます。

ぜひ今回の内容を参考に、効果的なダイアグラム作成に挑戦してみてください。add_circle

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モダニズム建築の保存と継承:歴史的価値と未来への可能性を探る

近年、世界各地で近代建築の保存と活用が重要な課題として認識されつつあります。特に、19世紀後半から20世紀にかけて台頭したモダニズム建築は、その歴史的・文化的価値が見直されると共に、老朽化や都市開発の波の中で、その存続が危ぶまれるケースも少なくありません。

本稿では、国際文化会館(アイハウス)ウェブサイトに掲載された、DOCOMOMO International会長アナ・トストエス氏のインタビュー記事を糸口に、モダニズム建築の保存と継承をめぐる議論を深め、その可能性と課題について考察していきます。

モダニズム建築:時代を映す鏡としての意義

モダニズム建築は、単なる建築様式の一つの枠組みを超えて、近代社会における思想や技術革新を色濃く反映した存在と言えるでしょう。産業革命以降の工業化や都市化の進展、そして合理主義や機能主義といった思想的背景を基盤に、新たな素材や技術を駆使した革新的な建築が次々と生み出されました。

ル・コルビュジエ、ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライトといった巨匠達の建築は、従来の様式に囚われない自由な空間構成、機能性を追求したシンプルながらも美しいデザイン、そして社会的なメッセージを内包するなど、近代建築の新たな地平を切り開きました。

日本におけるモダニズム建築:伝統とモダニティの融合

日本においても、モダニズム建築は独自の進化を遂げました。西洋のモダニズム建築の影響を受けながらも、日本の風土や伝統的な建築文化と融合し、独自の建築表現を生み出していったのです。

トストエス氏が言及する「国際文化会館(アイハウス)」は、まさにその好例と言えるでしょう。前川國男、坂倉準三、吉村順三という、モダニズム建築を牽引した3人の建築家による協働設計は、伝統的な日本建築の空間構成や素材使いを取り入れながらも、近代的な機能性と洗練されたデザインを見事に融合させています。

その他にも、丹下健三による「代々木体育館」は、吊り橋構造を応用したダイナミックなフォルムと、日本の伝統的な美意識を感じさせる優美な曲線が融合した、世界的に高く評価される傑作です。これらの建築は、日本のモダニズム建築が、単なる西洋建築の模倣を超えた、独自性の高い建築を生み出したことを証明しています。

「アダプティブ・リユース」:歴史的価値を継承する戦略

モダニズム建築の多くは、築後50年以上が経過し、老朽化や耐震性の問題、あるいは時代の変化による機能の陳腐化といった課題に直面しています。これらの課題に対し、近年注目されているのが「アダプティブ・リユース」という考え方です。

これは、建物の歴史的・文化的価値を尊重しながら、現代のニーズに合わせた改修や用途変更を行い、新たな価値を生み出していくという考え方です。従来の「保存」という枠組みを超え、「活用」という視点を取り入れることで、モダニズム建築を未来へと継承していくことが可能となるのです。

例えば、かつて工場や倉庫として使われていた建物を、美術館や商業施設、オフィススペースなどにコンバージョンする事例は、その代表例と言えるでしょう。建物の構造や空間を最大限に活かしながら、現代的な機能を付加することで、新たな魅力を引き出すことができます。

市民参加と多様な主体の連携:保存活動の新たな展開

モダニズム建築の保存と活用は、行政や専門家だけの課題ではありません。市民一人ひとりがその価値を認識し、積極的に関与していくことが重要です。

近年では、SNSやインターネットを通じて、モダニズム建築の魅力を発信したり、保存活動の輪を広げたりする動きも活発化しています。また、地域住民が主体となって、建物の利活用を提案したり、イベントなどを開催したりするなど、市民参加型の保存活動も注目されています。

モダニズム建築は、単なる過去の遺物ではなく、未来を創造するための貴重な財産です。歴史的・文化的価値を未来へと繋いでいくために、私たち一人ひとりができることから始めていきましょう。

建築が語りかける「記憶」の物語:現代建築に見る、その表現方法の変遷

建物はただそこに存在するだけではありません。時には雄弁な語り部となり、私たちに様々な「記憶」を語りかけてくれます。今回は、1968年以降の日本の現代建築、特に博物館や記念館といった「記憶」を扱う建築作品を例に、「記憶」がどのように建築に表現されてきたのかを探っていきましょう。

建築が映し出す「記憶」のかたち

論文「現代建築作品における「記憶」の概念の主題とその表象に関する研究 ─1968年以降の博物館・記念館・資料館の事例分析を通して─」では、1968年以降の日本の現代建築における「記憶」の表現方法を分析しています。その中で、「記憶」は人それぞれのものですが、建築はそれを呼び起こし、共有するための力強い媒体となり、現代建築では、主に以下の7つのテーマを通して「記憶」が表現されてきたと論じています。

  1. 環境と一体になる「記憶」: 五感を刺激する空間体験を通して、心が揺さぶられるような記憶を呼び起こします。例えば、周囲の自然と溶け込むような建築や、光と影の演出によって特別な時間を刻む空間などがあります。
    • 例:土門拳記念館(山形県酒田市)
      写真家・土門拳の作品を展示するこの記念館は、周囲の自然と建築が見事に調和しています。池の上に浮いているような展示空間は、土門の作品世界を象徴すると同時に、訪れる人に自然と作品を対峙させるような体験を提供します。
  2. 風景に刻まれた「記憶」: その土地ならではの風景や景観と建築を調和させることで、その場所に息づく歴史や文化を浮かび上がらせます。周囲の景観と一体化するような形態や、伝統的な街並みを尊重したデザインがその例です。
  3. 象徴として語り継ぐ「記憶」: 特定の人物や出来事、思想などを、建築要素を用いて象徴的に表現します。人物の功績をたたえるモニュメントや、歴史的出来事を伝える空間構成などが挙げられます。
  4. 時間軸を繋ぐ「記憶」: 建築空間の中で時間の流れを感じさせ、過去・現在・未来を繋ぐことで、歴史の重みや未来への展望を提示します。歴史的な建築要素を現代的に再解釈したり、時間の経過を感じさせる素材を選ぶ手法などがあります。
  5. 伝統を受け継ぐ「記憶」: 日本の伝統的な建築様式や空間構成を現代に蘇らせることで、先人たちの知恵や美意識を継承します。木造軸組構造や、縁側のような中間領域などがその代表例です。
  6. 場所に根ざした「記憶」: その土地が持つ歴史や風土、文化といった文脈を建築に反映させることで、その場所への愛着や誇りを高めます。地域特有の素材や工法を活用するなど、土地との結びつきを大切にします。
  7. 風土と共鳴する「記憶」: その土地の気候風土に適応した建築様式や空間構成を取り入れることで、自然と共存する心地よさや、その土地ならではの生活様式を伝えます。地域の気候に対応したパッシブデザインや、伝統的な家屋に見られる風通しや採光の手法などが挙げられます。

時代とともに移り変わる「記憶」の表現

論文では、1968年以降を4つの時期に分け、それぞれの時代の「記憶」に対する意識の変化を分析しています。

  • 第Ⅰ期“思考の発散”(1968-1984): モダニズムの崩壊後、様々な建築思想が生まれ、表現方法も多様化した時期。風景を取り込むなど、環境との調和を重視した作品が増加しました。
  • 第Ⅱ期“ポストモダニズム”(1985-1995): ポストモダニズムの影響を受け、歴史や伝統を引用した象徴的な建築が主流に。装飾性や物語性を重視したファサードデザインが特徴です。
  • 第Ⅲ期“建築の本質性”(1996-2011): 建築本来の機能や空間体験を重視する傾向が強まり、内部空間の構成や時間の流れを意識した作品が増加しました。
  • 第Ⅳ期“ローカリズム”(2012-2021): 地域の文化や風土を見直し、その場所に根ざした建築が注目されるように。地域固有の素材や工法を用いた、サステナビリティを意識した作品が増加しました。

このように、「記憶」の表現方法は時代とともに変化してきましたが、その根底には、人々の記憶や経験を共有し、未来へと繋いでいきたいという建築家の想いがあるのではないでしょうか。

まとめ

建築は、過去の記憶を留めるだけでなく、未来へ向かう私たちに大切なメッセージを語りかけてくれます。建築を通して「記憶」の物語に触れることで、私たち自身のアイデンティティや、これからの未来について考えるきっかけを与えてくれるかもしれません。

ぜひ、街歩きを楽しむ際には、そこに建つ建築が語りかける「記憶」の物語に耳を傾けてみてください。

参考論文

  • 高坂啓太, 末包伸吾, 後藤沙羅, 増岡亮: 現代建築作品における「記憶」の概念の主題とその表象に関する研究 -1968 年以降の博物館・記念館・資料館の事例分析を通して-, 日本建築学会近畿支部研究報告集, 第 63 巻, pp.393-396, 2023.

【建築と記憶の調和】土地の記憶を未来へ繋ぐ建築家・田根剛氏の創造性

「建築は、単なる建造物ではなく、その土地の歴史や文化を未来へと繋ぐ存在であるべき」

そう語る建築家・田根剛氏の言葉に、私は深く感銘を受けました。

田根氏は、1979年東京生まれ。パリを拠点に国際的に活躍する建築家です。

彼の建築の特徴は、なんといってもその土地の歴史や文化、人々の記憶を徹底的にリサーチし、設計に組み込むこと。

例えば、エストニア国立博物館では、なんと旧ソ連時代の軍用滑走路跡地を再利用し、エストニアの複雑な歴史を表現した空間を創り上げました。

田根氏が追求する「記憶の考古学」とは?

田根氏は自身の建築手法を「記憶の考古学」と表現します。

それは、その土地に眠る歴史や人々の記憶を丁寧に掘り起こし、未来へと繋ぐ建築を生み出すというもの。

彼の代表作である「弘前れんが倉庫美術館」も、旧倉庫を改修し、かつての賑わいを現代に蘇らせた素晴らしい建築です。

建築は、時間と共に価値を増す存在

田根氏は、現代社会における建築のあり方にも警鐘を鳴らしています。

経済効率を優先し、古い建物を簡単に壊してしまう現代。

しかし、田根氏は「時間と共に価値を増す建築」こそが重要だと訴えます。

彼の建築は、まさにその土地の歴史を刻み込み、未来へと受け継がれていく、そんな力強さを感じさせてくれます。

田根氏の建築から学ぶこと

田根氏の建築に触れると、私たちが普段忘れがちな「場所の記憶」の大切さを改めて認識させられます。

そして、未来を創造する建築には、過去への眼差しが不可欠であることを教えてくれます。

田根氏の建築は、これからも世界中で、土地の記憶を未来へと紡ぎ続けることでしょう。

合わせて読みたい:

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【京都では意外と多い?】再建築不可物件のメリット・デメリットを徹底解説!

「再建築不可物件」って、聞いたことはあるけど、実際どんな物件?

「住み続けられるの?」「買って大丈夫?」

そんな疑問をお持ちのあなたへ。今回は、再建築不可物件のメリット・デメリット、そして購入時の注意点まで、わかりやすく解説していきます!

再建築不可物件とは?

簡単に言うと、 老朽化や災害などで家が壊れても、新しく建て直しができない物件 のことを指します。

京都では、 細い路地が多く、建築基準法上の道路に2m以上接道していない という理由で、再建築不可物件が多いんです。

再建築不可物件=買っちゃダメ?

いいえ、そんなことはありません!

確かにデメリットもありますが、 価格が安く、静かな環境 など、魅力もたくさんあります。

メリット

  • ** 価格が安い!** 再建築可能な物件と比べて、お得に購入できることが多いです。
  • ** 税金がお得!** 固定資産税や相続税評価額が低くなる傾向があります。
  • ** 景観が変わらない!** 周囲も再建築不可物件が多い場合、昔ながらの街並みが守られます。
  • ** 投資物件としても魅力的!** 賃料相場は再建築可能な物件と変わらないため、高利回りも期待できます。
  • ** 静かで安全な住環境!** 車が通らないので、静かで、子ども連れのファミリーにも安心です。

デメリット

  • ** 住宅ローンの審査が厳しい…** 担保価値が低いため、審査が通りにくい場合があります。
  • ** 災害時に再建築できない…** 万が一、家が壊れても建て直しができません。
  • ** 売却時に価格が下がってしまう…** 再販価値は不動産会社の販売力に左右されます。
  • ** 用途変更が難しい…** 旅館や店舗などへの転用が難しい場合があります。

再建築できるケースも?!

実は「救済措置」があり、条件を満たせば再建築が認められる可能性も!

例えば、 建築基準法上の道路に面していない場合でも、周囲の状況から問題ないと判断されれば、特別な許可が下りる 場合があります。

住宅ローンはどうする?

一般的に住宅ローンの審査は厳しいですが、諦めるのはまだ早いです!

  • 現金で購入
  • 京町家ローン
  • 特殊物件を扱うローン
  • 他の不動産を担保にする
  • 公務員共済、リフォームローン、フリーローン

など、様々な方法がありますので、まずは不動産会社に相談してみましょう。

まとめ

再建築不可物件は、メリット・デメリット、そして購入方法や注意点などをしっかり理解した上で検討することが大切です。

「価格が安い」「静かな環境に住みたい」という方には、再建築不可物件も選択肢の一つ。

信頼できる不動産会社に相談しながら、あなたにぴったりの物件を見つけてくださいね!

建築家・宮本佳明氏の建築観:「終わり」のない建築、記憶を宿す器としての建築

本稿は、建築家・宮本佳明氏のインタビュー資料に基づき、氏の建築観、特に「終わりのない建築」という概念を中心に、氏の作品や活動を通して考察するものである。

阪神大震災と「ゼンカイ」ハウス:建築の欠落と可能性

宮本氏の建築観を語る上で欠かせないのが、1995年の阪神大震災とその後の復興過程における経験である。当時の復興政策は、損壊した建物の解体を促進するものであった。そこで宮本氏は、震災で被災した自邸を安易に解体するのではなく、鉄骨ブレースで補強し、震災の傷跡を残したまま住み続けることを選択した。この住宅は「ゼンカイ」ハウスと名付けられ、氏の建築に対する根源的な思想を体現する存在となっている。

「ゼンカイ」ハウスは、単なる震災遺構ではなく、時間の経過と共に変化し続ける、まさに「生きている建築」である。木造部分は老朽化し、鉄骨部分はより住宅を支える存在になっていく。宮本氏は、将来、誰かがこの住宅をさらに改修してくれることを望んでおり、建築は世代を超えて継承していくべきものだと考えている。

「記憶の器」としての建築:風景とアイデンティティ

宮本氏は建築を「記憶の器」と捉えている。この「器」は、人間の記憶や経験を宿し、時間の流れと共に変化していく、動的な存在である。そして、建築を取り巻く風景全体もまた、記憶の器となり得ると氏は考えている。

東日本大震災後、宮本氏は被災地を訪れ、津波によって基礎だけが残された風景を目の当たりにした。そこで氏は、残された基礎が、かつてそこに存在した人々の生活や記憶を留める、重要な役割を果たしていることに気づく。そして、これらの基礎を花壇として残す「基礎のまち」という提案を行った。

この経験を通して宮本氏は、震災の記憶だけでなく、震災以前の平和な日常の記憶もまた、人々にとって大切なものであると認識するようになる。そして、「ゼンカイ」ハウスもまた、震災の記憶だけでなく、自身の家族や自身が過ごしてきた日常の記憶を宿す場所となっていることを再認識するのである。

土木と建築の融合:「Do-Ken marriage」

宮本氏の作品の特徴の一つに、土木と建築の境界を曖昧にする設計手法が挙げられる。氏の提唱する「土建空間論」は、土木構造物と建築空間を一体的に捉え、両者の関係性を再定義しようとする試みである。

例えば、「SHIP」と名付けられた住宅では、コールテン鋼とコンクリートを組み合わせることで、土木と建築の境界線を曖昧に表現している。また、「クローバーハウス」では、既存の石積みの擁壁をくり抜き、鉄板を立てることで住宅を構築している。これらの作品において、土木構造物は単なる下部構造ではなく、建築空間と密接に関係し、空間体験を規定する重要な要素となっている。

宮本氏は、土木と建築の融合を「Do-Ken marriage」(土建の結婚)と表現し、両者の調和によって、より豊かな空間が生まれると主張する。そして、残るものと代謝していくものの線引きは、固定的なものではなく、状況や考え方によって変化するものだと考えている。

建築の終わりと再生:資材性とコンバージョン

宮本氏は、建築は必ずしも物理的な消滅によって終わりを迎えるとは限らないと考えている。建築は、その用途や役割を変えながら、新たな生命を吹き込まれる可能性を秘めている。

その具体例として、宮本氏は「資材性」という概念を提示する。これは、建築が本来の用途を超えて、様々な形 で再利用される可能性を示す言葉である。例えば、バケツは水を汲むだけでなく、植木鉢や楽器など、様々な用途に転用することができる。建築もまた、その形状や素材、空間構成によって、多様な可能性を秘めていると言えるだろう。

宮本氏は、学生に対して、既存の建物を新たな用途に転用するコンバージョンの課題を課している。これは、建築の潜在的な可能性を見出し、新たな価値を創造する力を養うための試みである。

廃墟の魅力:時間と自然が織りなす美

宮本氏は、廃墟にもまた、独特の美しさを見出している。廃墟は、時間の経過と共に風化し、自然と一体化していく。そこには、かつての人間の営みや記憶が、静かに佇んでいる。

宮本氏は、廃墟を前にすると、考古学者のように、その建物の歴史や構造、かつてそこで生活していた人々の様子に思いを馳せるという。そして、廃墟は、完成した建物よりも、その構造や素材、かつての用途を想像しやすいという点で、建築家にとって興味深い対象であると述べている。

建築の未来:自分自身の尺度で感じ、考える

インタビューの最後で、宮本氏は、建築の未来は、作り手だけでなく、利用者や社会全体で考えていくべき課題であると述べている。そして、建築の価値を判断する際には、既存の概念や常識にとらわれず、自分自身の尺度で感じ、考えることの重要性を説いている。

「良いと思うものは良い」という宮本氏の言葉には、建築に対する揺るぎない信念と、未来への希望が込められている。そして、氏の建築は、これからも、人々の記憶を宿す器として、時間の流れと共に変化し、成長し続けるだろう。

建築エスキスを効率化するための意外な鍵:センスよりも重要な「型」の習得

「エスキスが苦手」「アイデアがまとまらない」「時間ばかりかかってしまう」…建築を学ぶ学生なら、誰もが経験する悩みではないでしょうか。

エスキスは感覚的な要素が強く、指導者から「とにかく数をこなせ」「場数を踏め」と言われることも多いでしょう。しかし、闇雲に数をこなすだけでは、非効率な上に、成長を実感しにくいものです。

本稿では、エスキス習得のために本当に大切な「基礎力」=「型」を効率的に身につけるトレーニング方法をご紹介します。

エスキス習得の壁:感覚的な指導と非効率な努力

エスキス指導で陥りがちなのが、「感覚的な指導」と「非効率な努力の繰り返し」です。

教員からのアドバイスは、「この部屋はこっちの方が良い」「この動線はスムーズではない」といった、具体的ながらも断片的になりがちです。学生としては、その場しのぎの修正はできても、

  • 何故その指摘になるのか?
  • どうすれば自分自身で修正点に気づけるのか?
  • 最初から、より良いプランを思い浮かぶにはどうすれば良いのか?

といった、根本的な疑問に対する解決策を見出せません。

結果として、試行錯誤を繰り返すうちに時間切れになり、本来目指していた設計とはかけ離れた、不本意な作品で妥協してしまう…そんな経験をした方もいるのではないでしょうか?

将棋に見る、感覚的なスキル習得の秘訣

将棋の世界では、膨大な選択肢の中から最善手を導き出すために、

  1. 定石(基礎知識): 初期の段階での基本的な指し手の型
  2. 詰将棋(論理的思考力): 局所的な戦局における最善手を導き出す訓練
  3. 棋譜並べ(直感力): プロの対局を鑑賞・分析することで、大局的な判断力を養う

という3つのトレーニングが重要視されています。

建築におけるエスキスも同様です。

  1. 図面のルール(基礎知識): 図面の描き方、各要素の関係性などの基本ルール
  2. 部分的な納まりの訓練(論理的思考力): 階段、エレベーター、トイレなど、特定の機能を満たす空間構成の練習
  3. 優れた図面の模写・トレス(直感力): 優れた設計事例を繰り返しトレースすることで、優れた空間構成の「型」を無意識レベルで習得する

多くの場合、1と2は意識的にトレーニングされますが、3は軽視されがちです。

エスキス上達のカギは「図面模写」にあり

「図面模写」は、一見すると非効率で、オリジナリティを損なうように思えるかもしれません。しかし、将棋における棋譜並べと同様に、優れた設計の「型」を効率的に吸収できる、非常に効果的なトレーニング方法なのです。

効果的な図面模写のポイント

  1. 模写する図面: シンプルで、建築的に破綻のない、模範的な図面を選びましょう。一級・二級建築士の製図試験の模範解答などは最適です。
  2. 模写の方法: 薄い紙を上に重ねてなぞる「トレス」ではなく、あくまで目で見て、別の紙に書き写す「模写」を推奨します。
  3. 使用する道具: 鉛筆(シャーペン)、図面、A4サイズの方眼紙があれば十分です。

図面模写の効果

  • 「良い設計」の感覚的な理解: 優れた設計を繰り返し模写することで、自然と「良い設計」の感覚が身につきます。
  • 設計スピードの向上: 頭の中に「型」が蓄積されることで、エスキスの初期段階で、スムーズにプランニングを進められるようになります。
  • 設計の破綻を防ぐ: 無意識レベルで「良い設計」を判断できるようになるため、設計の致命的なミスを防ぎやすくなります。

まとめ:センスだけに頼らないエスキス習得を

建築エスキスは、感覚だけに頼るのではなく、「型」を習得することで、より効率的に上達することができます。

まずは、基本的な図面のルールを理解し、部分的な空間構成の訓練を積み重ねましょう。そして、並行して「図面模写」に取り組むことで、優れた設計の「型」を吸収し、あなたのエスキスは飛躍的に向上するはずです。

建築設計における効果的なトレーニング方法

建築設計は、単に知識やセンスだけで習得できるものではありません。建築家のように、優れた設計を生み出すためには、地道なトレーニングを通じて設計力を磨くことが重要です。本稿では、設計初心者から更なる高みを目指す方まで、段階的にスキルアップするための効果的なトレーニング方法をご紹介します。

設計力向上のための段階的アプローチ

設計力は一朝一夕に身につくものではなく、段階的にレベルアップしていくものです。効果的にトレーニングを進めるためには、まず自身のレベルを客観的に把握することが重要です。

レベル0:設計の基礎知識が不足している段階

  • 建築用語や図面の読み方がわからない
  • 設計プロセスがイメージできない

レベル1:基本的な設計プロセスを習得しつつある段階

  • 時間をかければ住宅などの設計ができる
  • 図面作成に慣れてきたが、洗練されていない

レベル2:効率的かつ質の高い設計ができる段階

  • 短時間で一定レベル以上の設計ができる
  • 設計プロセスを効率的に進めることができる

レベル3:独創性や表現力に優れた設計ができる段階

  • 独自のデザインを生み出し、形にすることができる
  • プレゼンテーション能力に優れ、クライアントを魅了する

設計力を段階的に鍛える3つのトレーニング

1. 図面模写・図面トレス:観察眼と基礎力を養う(レベル0→1)

優れた建築家の図面を繰り返し模写することで、図面を読み解く観察眼を養い、設計の基礎を習得します。

効果:

  • 図面表現技法の習得
  • 寸法感覚、空間把握能力の向上
  • 優れた設計事例の吸収による、設計センスの向上

ポイント:

  • 質より量を重視し、多くの図面に触れる
  • 完璧主義に陥らず、継続することを優先する
  • シンプルな図面から始め、徐々に複雑なものへステップアップする

2. 即日設計:時間管理能力と問題解決能力を高める(レベル1→2)

時間制限を設けて設計に取り組むことで、限られた時間内で設計をまとめる、実践的なスキルを身につけます。

効果:

  • 設計プロセス全体の時間配分を最適化する能力の向上
  • 設計における優先順位の決定、迅速な意思決定力の強化
  • 建築士試験など、時間制限のある設計試験への対応力向上

ポイント:

  • 最初は時間内に完遂することに固執せず、徐々に目標時間を短縮する
  • 過去の作品を分析し、時間短縮のための改善点を洗い出す
  • 建築士試験の問題集などを活用し、実践的な課題に取り組む

3. スケッチ:空間認識力と表現力を磨く(レベル2→3)

頭の中のイメージをスケッチで具体的に表現することで、空間認識力や表現力を高め、より自由な発想を生み出す力を養います。

効果:

  • 空間を立体的に把握する能力の向上
  • 抽象的なアイデアを具体的な形にする能力の強化
  • プレゼンテーション資料やデザイン画など、視覚的な表現力向上

ポイント:

  • 絵の完成度よりも、自由に表現することを意識する
  • 様々な画材や表現方法を試す
  • 実際に建物を訪れ、スケッチを通して空間を分析する

ポートフォリオ作成:設計力を可視化し、成長を実感する

トレーニングと並行し、作成した作品をポートフォリオとしてまとめることが重要です。ポートフォリオは、自身の設計力を客観的に評価し、成長を実感するためのツールとなります。

効果:

  • 自分の強み・弱みを客観的に分析
  • スキルアップを可視化し、モチベーション維持
  • 就職活動やコンペ応募時のアピール資料

まとめ

設計力を高めるには、継続的な努力が必要です。ご紹介したトレーニング方法を参考に、自身のレベルや目標に合わせた方法で、着実にスキルアップを目指しましょう。

インスタをもとにした家づくりは危険!設計士が教える家づくりにありがちな罠

「インスタ映えするおしゃれな家を建てたい!」
誰もが一度は夢見ることでしょう。しかし、憧れだけで突き進むと、思わぬ落とし穴にハマってしまうことも…。

理想の家を実現するには、いくつかの重要なポイントを押さえておく必要があります。

「おしゃれな家」と「幸せな家」は違う?!

素敵な写真に囲まれた家は確かに魅力的。

しかし、家はあくまでも「そこで暮らす人」にとって快適で幸せな空間であるべきです。「見た目のおしゃれさ」は、家づくりの要素のほんの一部でしかないことを忘れてはいけません。

家づくりで本当に大切なのは、「そこで末永く、幸せに暮らせる家をつくること」。

そのためには、

  • 広い庭
  • 家族団らんのスペース
  • 自然を感じられる空間
  • 趣味の部屋

など、「あなたにとっての幸せな暮らし」を具体的にイメージすることが重要です。

おしゃれな家づくりに潜む危険性

おしゃれな家を建てたいばかりに、陥りがちな失敗例と、その回避策をまとめました。

失敗例問題点回避策
おしゃれな画像を片っ端から集めるおしゃれの基準が曖昧になり、ちぐはぐな家に。自分なりの「おしゃれの基準」を明確にする。
インスタで見つけた素敵な空間をそのまま真似する生活動線や快適性、耐震性など、住み心地がおろそかに。プロのアドバイスを受けながら、バランスの取れた家づくりを。
あまりにも個性的なデザインにこだわる住みにくく、飽きがくる可能性も。シンプルで長く愛せるデザインを取り入れる。

自分だけの「おしゃれ」を見つけるには?

おしゃれの基準は人それぞれ。

まずは、

  1. 好きな画像を集めて共通点を探す。
  2. 「どんな素材・色・インテリアが好きか」「どんな雰囲気の家に住みたいか」などを言葉にする。

こうして、自分だけの「おしゃれの基準」を明確にしましょう。

まとめ

インスタグラムは、家づくりのアイデアを得るには最適なツールです。

しかし、見た目だけに囚われず、「幸せな暮らし」を実現できる家づくりを目指しましょう。

そのために、ぜひ今回のポイントを参考にしてみてください。